心の解析メモ〜個人的心理学整理ノート〜

ビジネス&普段に役立つ心理学

組織が変わるとはどういうことか

組織変革、チェンジマネジメント、とは何でしょう。

組織が変わるのって、組織図を変えることでしょうか。管理する人の管理範囲(=陣地)を取り合っているような印象で組織図を変える中小企業って多いですよね?

組織変革ってなんでしょう?

 

 

組織変革とはその組織で動く人が変わること

当たり前ですが、組織図を変えようが、職掌を変えようが、管理者を変えようが、組織が変わるのは、すなわち、そこに所属する人それぞれの行動が変わること。

W.ブリッジズは人が変わっていく様を、「終焉」(今までの何かが終わる)→「中立圏」(混乱・苦悩・整理など)→「開始」(新しく何かが始まる)とモデル定義した。

「何かを変えること」は今ある何かが終わって、それを認めて、整理して、それが終わって初めて、次の新しい何かを始めるということなので、このプロセスを飛ばすと、何かを終えることができずに現状を引きずったりして、うまく変化できないという事態を引き起こす。

変化が起きる時には、これが個々人に起きて、それが組織を変えていく。

組織変革が起きるときの問題

組織が変わる=個々人が変わることであるが、そこにはいくつか問題が発生する。

  1. 組織変革には 感情の問題が発生する
  2. 組織変革には 政治的な動き、パワーバランスの変化があり、そこに問題が発生する

1について、組織変革する時、なぜ組織が変わらねばならないか、どうすべきか、環境の変化を見極め、変革する流れ・プロセスを合理的に定義するはずだが、そこにはどうしてもその組織で働く人の感情が影響する。

仕事内容自体に思いのある人もいるだろうし、変えることによって何か気にかかることがある人もいる。人はそう簡単に今までのやり方を捨てて、変わることはできない。自分が納得して、今の状況、仕事の仕方を終わらせて、整理して、次のやり方を飲み込んで、次を始めなければならない。

また、組織の中の人と人で温度感が違うと言うこともあるかもしれない。人が集団になると、同調圧力も生まれる。早い時期に変わろうとする人にも、もちろん同調圧力が働く。さらに、元の組織の纏まりが強ければ強いほど、方向性が揃っていれば揃っているほど、それだけ常識が浸透して変わりにくい可能性が高いので、やはり変りにくくなる。

上記を考えると、完全に合理主義100%で、ロジックのみで組織が変わることは難しい可能性がある。情緒面にも気を配る必要がある。

2については、組織にしばらく所属していたら容易に想像がつくと思われるが、いわゆる責任範囲、パワーバランスの調整などの社内政治の問題の発生。部門間での人の取り合い、派閥や、職能部門間での業務範囲の取り合い、変化が確定するまでの途中経過の過ごし方などの問題が発生する。これを対処し、乗り越えていかないとうまく変化できない。

部門間でも社内政治の結果、組織変革に対しての抵抗が発生することが考えられる。
自分達の部門の利益や権力よりも、目的の組織変革を優先することをできない場合、問題が起きる。

 

組織変革の阻害要因

J.P.Kotterは組織変革が失敗に終わる理由を6つあげたが、そのうちの1つに「現状満足を容認する」と言うのがある。

すなわち、「危機感を感じない」、「危機感を感じていても現状でいいと思っている」ので、組織変革の必要を感じていない、当事者意識がないということ。

それがないと、目的の変革よりも社内政治が優先されてしまうことになる。

また、組織が変わるには個人が変わらねばならないが、個人が変わることもまた、当事者意識、危機感が強くないと難しい。
変わっていくには何かを終わらせて、次を始めなくてはならず、現時点では確実になんとか(うまく)動いている現状を捨てて、うまくいくかどうかわからない次のことを始めるのは、現状に対する未来への危機感が動機にないと、心理的抵抗も大きい。

自分の仕事結果に対する責任感が強い業務当事者なら、なおのこと、変化するのは難しい。
そうなれば失敗への寛容さや率直にものが言える風土(心理的安全性?)が組織には必要になってくる。

 

まとめてみて

組織変革について、本を読んでみてまとめてみましたが、あちこち読むと色々なものがつながっていきます。

似た範囲の分野の本を読むので、そうなるのは当たり前なのかもしれませんが、ある事象を別の切り口で眺めてみたような話になってくるので、事象を分類する(=定義する)ことは、その事象がその人の見えている世界に現れると言うことなんだなと実感します。

人は、基本的に、変わることを拒否します。怖いと感じます。

私自身は自分に変化がないことが怖い方の人間で「珍しい」と言われますが、それさえも見方を変えれば、常に変わっていることが自分の普通で、立ち止まることが自分にとっての変化で、それが「怖い」からなんですよね。
日々、追い立てられてる気がして、ちょっとだけ疲れることもあります。

組織が変わることも、組織は今の現状でなんとか動いているから存続しているわけで、それを変えることはやはり怖い、ということなのでしょう。
これを変えるには危機感を共有しないといけないわけですが、「危機感」よりは「改善」のほうが日本人らしく、気分的にも追い詰められた感がしないので、そちらの方がいいなぁと思いました。

もしかしたら、「危機感」で動くのはマクレガーのX理論な言葉のチョイスなのかもしれないですね。「より良く改善」のY理論的な発想でいきたいものです。


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