心の解析メモ〜個人的心理学整理ノート〜

ビジネス&普段に役立つ心理学

マズローの欲求階層説(自己実現とモチベーション)

こんな図をみたことがありませんか?

マズローの「欲求階層説」で、図示されるものです。(多少、訳語の問題で文字は表現が違ったりしますが……)

細かいところが気になったりもしたので、自分なりにまとめてみます。

 



 

欲求階層説の概要

「欲求階層説」はマズローが発表したもので、当初は5段階。

人間の欲求は、階層状になっていて、下位のものが満たされると、その上位の欲求が出てくるいう考え方。

例えば、喉が渇いて水が欲しいという状態(1:生理的欲求)の場合、それが満たされると、次に身の安全が気になる、安心したい、と思う(2:安全の欲求)ようになる、という具合。

より下位のものほど、それがないと緊急性が高く、より基本的な欲求といえる。

理論がわかりやすいからなのか、マーケティング経営学など、色々なところにこの考え方が応用されている。

一つ一つの細かいところは次の通り。

1:生理的欲求

いわゆる衣食住含む、食欲や睡眠欲など、生物としての基本的な欲求。

2:安全の欲求

身の安全。危険がない状態、安心の欲求。生きていくのに必要なものを安定的に維持したいという欲求。

安心して暮らしたい。

3:所属・愛の欲求(社会的欲求)

友人、会社、組織などから受け入れられる、所属したいという欲求。

人と一緒にいたい、人を愛したいなど、人間関係で、一言で言うと「人と繋がりたい」という欲求。

これが満たされていない状態だと、孤独感や社会的不安を感じるとされる。

4:承認の欲求

認められたい、尊重されたい、という欲求。

他者から認められること(出世欲などもこの一つ)はもちろん、自分で自分を認めることも含む。自己肯定感、効力感を高くすることで満たされることもある。

これが満たされない状態は、自尊心が低い、無力感・劣等感などが生じているとされる。
一つ下位の「社会的欲求」が満たされていて初めて、発生する欲求でもある。

他者から認められることを低次、自分で自分を認めることを高次と分類する場合もある。

5:自己実現の欲求

自分が思う、あるべき自分になりたい、という欲求。自分らしい働き方、生き方を実現したいという欲求。

人それぞれにこの定義はあると思われる。

モチベーションを関連させると?

モチベーションを切り口に、この5段階を大きく2つに分けると、1〜4は欠乏欲求(D欲求/D動機:Deficiency)、5は存在欲求、成長欲求(B欲求/B動機:Being)と分類される。

欠乏欲求はそれが欠けている場合、外部から働きかけが可能な欲求であり、それが満たされるとその欲求はモチベーション(動機)の元にはならないという特徴がある。

例えば、仕事をする動機に何があるか、を考えるとわかりやすい。もっと静かな部屋に住んでゆっくり眠りたいと思っていた場合、それをモチベーションに仕事をすることができるが、報酬が上げられて、それが満たされたら、欠乏がなくなるので、それをモチベーションに仕事をすることは難しくなる。
また、上記のように1:生理的欲求は報酬で満たすこともできるし、4:承認欲求なら褒めるなどでも満たすことができる欲求なので、外部からの働きかけが可能であることもわかる。

5の存在欲求、成長欲求については、外からの働きかけが難しく、マズローによると、モチベーションには関連しないとされ、人の長期にわたる「発達」の問題であるとしている。つまり、1−4とは別格ということである。

自己実現はその人の人生観や、存在証明に関わる内容なので、外から働きかける(=動機づける)のは難しく、また、実現するスパンもとても長い。
(図をみると下位の欲求から上位にかけてそれぞれ、満たすのに少しずつ時間がかかるようなものが多くなっているイメージであることがわかる。)

また、下位の欲求から満たされていくということになっているが、時に例外となるような人もいたり(衣食住な生理的な欲求よりも他者からの承認や自己実現を優先する人もいる)する場合もある。段階が5でいいのか、という議論もあるようであるが、マズローは厳密に検証されたものとしてではなく、ある種、モデルというか物の見方としてこれを提示しているという。

まとめてみて

以上を踏まえて、自分なりに図示してみたら、こうなりました。

組織を運営する際に、環境条件(=労働条件、衛生要因)の改善は組織からの離脱、不満を防ぐことができる(マイナスからゼロにする)が、それがその組織に積極的に所属する理由にはならず、満足させることはできない(ゼロからプラスにすることはできない)と言われます。これをみれば、そうか、、納得と思いました。

会社では、4を満たすことまでができることで、5は難しいとした研究者もいるそうです。5を満たすのはその本人の自己実現、人生観などに左右され、極端な話、仕事とは別に自己実現の手段を持っている人などもいますし、それを考えると、会社としてはやはり難しいと考えることも素直かなとも思います。

また、マズロー自己実現は動機付け(=モチベーション)とは関連しないとした点は、自己実現は一生かけて実現させていくような性質のものであり、比較的短期をイメージするモチベーション、やる気とは少し離れてしまうので、モチベーションとは関連しないと言うことなのだと思いました。(欲求というより、成長、発達課題と言え、「日々のモチベーションを積み重ねて長期的なキャリアを築く」と考えるとモチベーションとは確かに少し違うかなと思われる)

マズローはのちに、5:自己実現の上に、6:自己超越というのがあると提唱したそうです。人口の2%程度しか辿りつかないとも言われるらしいですが、どんな人が該当するのでしょう…。

 

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